Monday, July 09, 2007

一ヶ月間日本を離れる

韓国経由でヨーロッパを旅してきます。
学生生活も最後なのでお金がないけど借金して行ってきます。
可能な限り現代美術を巡る予定です。一人旅。寂しい。
「書を捨てよ、町へ出よう」というタイトルの本と演劇と映画を、寺山修司は作っている。
この言葉自体はアンドレなんとかという男の言葉らしい。
彼らがどんな意図で使っていたか分からないが、僕はこのコピーにとても共感している。
木場の現代美術館にデュマス展を見に行って確信した。
実物を見ることが大切だ。
本物に宿る情報のなんと多いことか。
空間の使い方から、照明、筆のタッチ、スケール感。重要なことは全てその場にあった。

きょうび、デザイナーはモノではなく情報を作っている。
誰もが振り返るポスターの、かっこいい椅子の、データを作っている。
モニターの中に感覚はあるんだろうか。
昔はモノからモノが生まれて行くのを、手で感じながら作っていたんだろうな。
モニターの中ですぐ出来る図像は造形的には近くても、その人の感覚との距離はとっても遠い。
パソコンは何も作ってくれない。
うまく言葉にできないけど、頭の中の現実的なイメージが決定的、という感じ、か。
触りながら作っていくのはそれを育てるのにとても有効だ。
そして優れた完成品を実際に体験することもいい。
インターネットや本で世界中のあらゆる芸術を見ることが出来るけど、それじゃあ僕は何も変わらない。

貧乏で一生懸命な建築家と金持ちでマイペースな建築家の話を聞いたことがある。
最終的に成功したのは後者らしい。実際に優れた建物に住むことが、優れた設計をするのに必要なのだそうだ。
言いたいは「結局お金なんだ!ということ。」
ではなく、「現実的な感覚をつかむことが重要だということ。」
森美術館のコルビジェ展では彼が旅の手帳に描いた(雑な)スケッチがとても印象的だった。
写真で記憶しておくのではなく、体で覚えておくというか、感覚を呼び起こすのは正確な図像ではなく下手くそな僕のスケッチなのだ。

池谷裕二著の「進化しすぎた脳」はとても面白い本だ。(そして装丁もイラストも素晴らしい)
進化しすぎている人間の脳というのは、その素質の10%程度しか使えていない事実をしてのことだ。
実際に50%の脳の容量で生まれきた子供は、大学で賞をとるほどの優秀な学生に育ったそうだ。
僕たちの手が10本、足が20本あれば、脳は残りの90%の一部を発達させそれらを自由に操作することができるらしい。
つまり、脳みそにとっての「環境」(=身体とそれが接する世界)から、脳みそが自らを編成していくのだ。
手が二本、足が二本、眼が二つあるこの身体とそれが受ける感覚刺激に合わせて僕らの脳みそはネットワークを組む。
環境が脳を規定する。
手の数を増やすことはできないけど、すばらしい芸術作品を(一時的にせよ)僕の環境にすることは出来る。
もちろん、僕は未分化な脳を持っているわけではないけど。
感覚を僕の肉体に、だ。

7/18-8/16
お勧めがあれば教えてください。
各国のTokyo Art Beatのようなサイトを探している。
直島や21世紀美術館のように、あっちでも地方が盛んなのだろうか。
5年前に諦めたドクメンタもベネチアビエンナーレもある、今年は10年に一度の当たり年だ。

11 comments:

da!da!da!datech! said...

そしてミュンスター彫刻プロジェクト(Skulptur Projekte)も。今年はすごい

KAZUTO said...

いいなぁ。
気をつけていってらっしゃい。
ところでニューヨークなんかはいかないの?
ふらっとギャラリー巡りなんてのも良いんでないのかな。
コルビジェ展は東京に行く機会があったので見てきたよ。個人的にはそんなに感慨深いものは無かったかなぁ・・・。
まぁ実物を見ろってことだなあ。

J said...

深い・・・。大人だなあ。
是非気をつけていって来てくれ!

いーこ said...

とびだしていきたいよー
でも本当に飛び出せる人には惜しみなくエールを送る!お金は送らないけど!
スウェに行ったときは、あの大きなお墓には行かなかったのでそこまで足を伸ばすなら撮ってきてほしいなぁ。
美術のことはわからないけど、「百聞は一見にしかず」は生きたことわざなのだ。

da!da!da!datech! said...

>kazuto
気をつけて行ってきます。
ニューヨーク行ってみたい。。。
コルビジェの実物も見れたらいいな、時間が足りない。

>j
たかが一ヶ月の旅行にこんだけ言い訳しないと気が済まないのです。行ってきます。

>いーこさん
それはここのことですか
http://homepage.mac.com/takao11sep/files/1.jpg
http://homepage.mac.com/takao11sep/files/2.jpg
http://homepage.mac.com/takao11sep/files/3.jpg
3年前にアスプルンドの墓地も図書館も見てきました。素晴らしかったです。写真渡せる機会があれば。会いたいですね。
スウェーデンの女性が世界一かわいいと思います。今回はたぶん北欧へは行けません。最後の飛び出しに、エールをありがとう!

小野 said...

ブログ、とてもおもしろかった。
今年はそんな年なんだね。前回のドクメンタに行ってから5年もたったんだっても思った。月日がたつのはなんとやらだね。

最近めっきり現代アートからは遠ざかってるけど、ドクメンタとビエンナーレ楽しんできてください。そして何か素敵なアートを発見したらブログにでものせてください
楽しみしてます。
はばぐっどとりっぷ

Anonymous said...

そうそうそれ!
広大な敷地で全体が追悼の場という感じ、
と世界遺産で見て感動しました。
無事帰ってきたら会いましょう~

いーこ said...

あ いーこでした

da!da!da!datech! said...

>小野

ありがとう。
イタリアの駅で腐ったチーズ食べて二人とも倒れたね、それでも小野君はカッセルへ言った
。僕は寝た。5年も前だってほんと信じられない。
感慨深いよ。

>いーこ
墓場の話題に引き続いて、「無事帰ってきたら」ってダークですね。
家に呼んでください。

kotsu said...

日記面白かったです。
色んな地面を踏みながら歩きまくってきてくださいね。
DATECさんの「ねむるひと」も大好きなので寝てるひとがいたらまた撮ってきてください。
帰ってきたらぜひお会いしましょう。

こつ

da!da!da!datech! said...

>こつ
ありがとう。ねむるひとはもちろん撮りまくってきます。最初はタイやインドへ撮影旅行に行く予定だった。でもやっぱり僕は現代美術が好きだ。帰ったら飯でも食いにいこう。