Saturday, June 23, 2007

ディスクレビュー

篠原敏蔵 / die young
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ある日海岸でみつけた貝殻はやけにしっくりくる形をしている。
昔の地図の印刷のズレ具合がちょうど良い。紙の古ぼけさも良い。
これらを人間が意図的に作るのは難しい。
僕が見た貝殻は波風に揉まれて出来上がり、古い地図は未熟な印刷技術と長年の押し入れの湿気によって出来上がる。
この感覚は最新技術を使って人工できるだろうか。いわんやできまい。

音の質感のよさ。
このCDを聞いて最初に感じたことだ。
CD全体でよく耳にするギターのディレイフィードバックはシビアなところ正確に操作するのは難しい。
揺れ重なるフィードバック音は沖合に戯れる波のようでおぼつかないサウンド。
そう、波の中で泳ぐ時は大きな揺らぎの中で少しずつバランスをとりながら進むのだ。
あらがうことができない自然の流れ、思うようには進まない日常、を上手に歩いていく。
そのよたよたな足跡がこのCDの曲そのものなんだなと思う。
当然その足跡は彼個人だけの問題でもなく、僕たちも抱えているものなのだ。

4曲目の歌の曲がいい。未だにインストの曲がヒットチャートを独占しないのは歌がどの楽器にもまして人の心をつかむから。ギターの1音と歌の1音では感覚の情報量が違う。
音楽を聞き慣れた人ならその2つは同じように受け取ることができるかもしれないけれど、僕はまだまだ歌に圧倒されてしまう。
その人の全てが見えた気になってしまうんだよね。
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CDは本人にメールすれば郵送してくれると思います。
右のリンクのsinoherrが彼のブログです。

2 comments:

Anonymous said...

人間は人間の声がすきなのだにゃー
よたよた歩きの敏蔵を想像して可哀想になったが私もCDを待つことにしよう、

da!da!da!datech! said...

よたよたなくらいが魅力的、
悟りきった人の話はどうも信用できん。
彼にはもっと音楽作って欲しいぜ